エンドースメント契約は、スポーツ選手などが商品やブランドを使って推奨し、企業が対価を払う契約です。応援が中心のスポンサー契約と違い、広告での推奨や商品への関わりが中心になります。日本では「アドバイザリー契約」と呼ばれることもあり、結ぶ前に肖像の範囲と広告の表示を確かめます。
選手に自社の商品を使ってもらい、広告にも出てほしい。代理店の資料には「エンドースメント」と書かれているが、スポンサー契約やアンバサダー契約と何が違うのかが分からない。カタカナの言葉が並ぶと、判断の手前で止まってしまいます。
この記事では、意味と違い、実際の契約の例、決める項目、確かめる法律を順に整理します。楽器メーカーと音楽家の契約にも同じ言葉が使われますが、ここではスポーツ選手と企業の契約を扱います。
エンドースメント契約はスポンサー契約と頼むことが違う
エンドースメント契約とスポンサー契約の違いは、企業が選手に何を頼むかです。エンドースメント(endorsement)は「推奨、支持」を意味し、選手が商品を認めて勧めることが契約の中心になります。次の表は本記事の整理で、実際の契約では複数の要素が重なることもあります。
| 契約 | 中心になること | 企業が得るもの |
|---|---|---|
| エンドースメント契約 | 商品の使用と推奨 | 商品への信頼、広告での起用 |
| スポンサー契約 | 競技活動の支援 | 社名の露出、応援する姿勢 |
| アンバサダー契約 | ブランドの顔としての継続的な発信 | 長い関係と発信の機会 |
出典:本記事の整理。名称や範囲は契約ごとに異なるため、内容は契約書で確かめてください。
エンドースメント契約は商品を使って勧めてもらう
選手が実際に商品を使い、その価値を伝える形です。用具やシューズ、飲料など、競技や体づくりと関係の深い商品と相性がよいとされます。本人が使っていない商品を勧めてもらう形は、見る人の信頼を損ねやすいので避けます。
スポンサー契約は競技活動を資金や用具で支える
スポンサー契約は、選手の活動を支え、社名の表示などの権利を受ける形です。商品を勧めてもらうことは必須ではありません。契約の種類の全体は別の記事で整理しています。
あわせて読みたいスポンサー契約の違い|スポーツの6種類を所属・パートナーまで比較›
アンバサダー契約はブランドの顔として長く関わってもらう
アンバサダーは、イベントへの参加や発信を通じて、ブランドの顔として関わってもらう形です。特定の商品より、会社やブランド全体を伝えるときに向いています。進め方はアンバサダー契約の記事で説明しています。
Q. エンドースメント契約とは何ですか?
スポーツ選手などが商品やブランドを使って推奨し、企業が対価を支払う契約です。用具の使用、広告への出演、商品開発への助言などを含むことがあります。日本ではアドバイザリー契約など別の名前で結ばれることもあるので、名前より中身を確かめてください。
Q. エンドースメント契約とスポンサー契約の違いは何ですか?
エンドースメント契約は商品の使用と推奨が中心で、スポンサー契約は競技活動の支援と社名の露出が中心です。実際の契約では両方を含むこともあります。何を頼み、企業が何を使えるのかを、契約書の項目で比べてください。
国内の用具契約では使用と開発と宣伝までを1つの契約で結ぶ例がある
国内でエンドースメントに近い例が、スポーツ用品メーカーの契約です。2023年1月の報道によると、アシックスジャパンはサッカーの冨安健洋選手とアドバイザリースタッフ契約を結びました。シューズなどの使用に加え、商品開発への助言、広告や電子媒体での宣伝、販売促進への協力が内容とされています。
この例から分かるのは、名前に「エンドースメント」とつかなくても、中身は同じ考え方の契約があることです。メーカーでない企業は、自社の商品を選手の生活の中でどう使ってもらえるかから考えます。広告での起用についてはアスリートCMの効果の記事でも整理しています。
(参考)アシックスジャパンと冨安健洋選手の契約の報道(2023年1月26日) – FASHIONSNAP
契約では商品の範囲と肖像の使い方と解除の条件を決める

エンドースメント契約で最初に決めるのは、どの商品を、どこで、いつまで使うかです。次の3つを書いておくと、公開後の行き違いを減らせます。項目は本記事の整理で、全体の進め方はスポーツマーケティングでも説明しています。
商品の範囲と競合の扱いを決める
対象の商品を具体的に書き、選手が同じ分野の他社の商品を使ってよいかを決めます。所属チームや競技団体の決まりで、使える用具や表示に制限がある場合もあるので、契約の前に確かめます。
肖像は媒体と期間と地域を書く
選手の名前や写真には、顧客を引きつける価値があります。最高裁の平成24年2月2日判決は、これを排他的に利用する権利をパブリシティ権と呼び、肖像を無断で広告として使うことなどは違法になると示しました。
契約があれば使えますが、範囲を超えると問題になります。テレビCM、ウェブ広告、店頭、SNSのどこに、いつまで使うかを書きます。料金の考え方は別の記事で整理しています。
あわせて読みたい肖像権の使用料とは|スポーツ選手の起用で企業が払う3つの料金›
(参考)最高裁判所第一小法廷 平成24年2月2日判決(平成21年(受)第2056号) – 裁判所
不祥事や引退のときの解除を決める
怪我、引退、移籍、不祥事があったときに、広告をどう取り下げ、報酬をどう扱うかを先に決めます。企業側の不祥事で選手が解除できるかも、公平な契約では話し合う点です。考え方はスポンサーの不祥事リスクでまとめています。
選手に投稿を頼むなら広告の表示と業務委託の決まりを確かめる
エンドースメントは推奨そのものが中身なので、広告だと分かる形で見せることが欠かせません。自社の契約に当てはまるかは、法律の専門家に確認してください。
投稿は広告だと分かる表示を入れてもらう
消費者庁は、広告であるのに一般消費者が広告だと分からない表示を、令和5年10月1日から景品表示法違反としています。規制の対象は広告主である事業者で、依頼を受けた第三者ではありません。つまり、選手の投稿で表示が抜けたときに問われるのは企業の側です。
「広告」や「PR」の表示を入れてもらい、公開前の確認手順を決めます。広告全体で確かめる点はアスリート広告のチェックリストにまとめています。
(参考)令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 – 消費者庁
個人への委託は条件を書面などで明示する
従業員を使わない個人に業務を委託する場合、令和6年11月1日に施行されたフリーランス法が関係します。発注する事業者は、給付の内容や報酬の額などを書面または電磁的方法で明示します。撮影や投稿を個人の選手に頼むなら、対象になるかを確かめます。
(参考)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 説明資料 – 厚生労働省
Q. エンドースメント契約の金額はいくらですか?
公開された統一の相場はありません。選手の注目度、使う媒体、期間、頼む活動の量、競合を排除するかどうかで変わります。複数の候補に同じ条件を示して見積もりをとると、自社にとっての目安をつかめます。
金額は非公開が多いので条件をそろえて比べる
エンドースメント契約の金額は、ほとんどが公表されません。世界的な選手の推定額が報じられることはありますが、企業が国内の選手と結ぶ契約の目安にはなりません。
比べるときは、媒体、期間、撮影の回数、投稿の回数をそろえて見積もりを取ります。トップ選手がどの企業と契約しているかは大谷翔平のスポンサー企業で確かめられます。契約の形全体はアスリート契約の記事で整理しています。
エンドースメント契約の要点
- 商品の使用と推奨が中心で、スポンサー契約とは頼むことが違う
- 国内ではアドバイザリー契約など別の名前で結ばれることがある
- 商品の範囲、肖像の使い方、解除の条件を決める
- 投稿の表示の責任は広告主である企業にある
- 金額は非公開が多いので、条件をそろえて比べる
まずは選手に使ってもらいたい商品を1つ決めて、本人が本当に使える商品かを確かめてみてください。
FREE DOCUMENT
関連する資料を無料でダウンロード




コメント