アスリートとの契約は、スポンサー、広告出演・肖像使用、アンバサダー、雇用の4つに分かれます。企業がまず決めるのは金額ではなく、選手に何をしてもらうかです。個人に業務を頼むなら、フリーランス法と景品表示法も確かめます。
地元出身の選手を応援したい。社名の入ったユニフォームで大会に出てもらえないか。広告にも出てほしい。そう考えて相談を始めると、「スポンサー契約」「肖像権」「アンバサダー」と言葉が並び、どの契約を結べばよいのか迷うものです。
この記事では、4つの形の違い、契約で決める項目、確かめる法律、金額の考え方を順に整理します。
アスリート契約は目的で4つの形に分かれる
アスリートとの契約は、企業が何を得たいかで形が決まります。次の表は、企業がスポーツ選手と結ぶ主な契約を、本記事で4つに整理したものです。実際の契約では、複数の形を組み合わせることもあります。
| 形 | 企業が得るもの | 選手に頼むこと | 向いている目的 |
|---|---|---|---|
| スポンサー契約 | 社名の露出、応援する姿勢 | 社名の表示、報告 | 認知、地域への貢献 |
| 広告出演・肖像使用 | 広告に名前や写真を使う権利 | 撮影、出演 | 商品の販売促進 |
| アンバサダー契約 | 継続的に発信してもらう関係 | イベント参加、投稿 | ブランドづくり |
| 雇用 | 社員としての働きと競技の両立 | 業務と競技活動 | 採用、社内の一体感 |
出典:本記事の整理。名称や範囲は契約ごとに異なるため、内容は契約書で確かめてください。
スポンサー契約は選手の競技活動を支える
スポンサー契約は、資金や用具で競技活動を支え、ウェアへの社名の表示などの権利を受ける形です。応援の気持ちから始めやすい一方、売上への効果はすぐに表れないことがあります。種類の違いは別の記事で整理しています。
あわせて読みたいスポンサー契約の違い|スポーツの6種類を所属・パートナーまで比較›
広告出演と肖像使用は使い方を細かく決める
広告に選手の名前や写真を使うなら、媒体、期間、地域を決めて契約します。ポスターの撮影だけのつもりが、SNSやウェブ広告にも使いたくなることはよくあるので、最初に範囲を書いておくと追加の交渉を減らせます。
あわせて読みたい肖像権の使用料とは|スポーツ選手の起用で企業が払う3つの料金›
アンバサダー契約は長く関わる前提で結ぶ
アンバサダーは、商品やブランドの顔として継続的に関わってもらう形です。イベントへの参加や投稿の回数を決めますが、本人が本当に共感できる内容でないと、見る人に伝わりにくくなります。
あわせて読みたいアンバサダー契約とは|スポーツ選手と結ぶ企業の確認点と報酬›
雇用はアスナビなどで社員として迎える
雇用は、選手を社員として迎え、業務と競技の両立を支える形です。日本オリンピック委員会の就職支援「アスナビ」の就職実績(内定者含む)は、2026年10月1日時点で延べ256社/団体467名です。
現役時代の働き方や引退後の役割まで考える必要があるので、採用の担当者と一緒に検討します。詳しくはアスリート社員の記事が参考になります。
(参考)トップアスリート就職支援ナビゲーション「アスナビ」による選手の就職決定・内定について(2026年10月1日) – 日本オリンピック委員会
Q. アスリート契約とは何ですか?
企業やチームがスポーツ選手と結ぶ契約の総称です。企業との契約には、スポンサー、広告出演・肖像使用、アンバサダー、雇用などの形があります。名称よりも、選手に何を頼み、企業が何を使えるかで内容を確かめてください。
アスリート契約で決めるのは権利と活動と期間の3つ

契約書で最初に決めたいのは、使える権利、頼む活動、続ける期間の3つです。ここがあいまいだと、広告の公開後や更新の時期に認識の違いが起きやすくなります。項目の分け方は本記事の整理で、詳しい進め方はスポンサー契約の進め方でも説明しています。
権利は所属先の決まりも一緒に確かめる
選手本人が了承していても、所属チームや競技団体の決まりで、競合の表示や大会での露出に制限がある場合があります。契約の前に、所属先への確認が済んでいるかを聞いておきます。
活動は回数と確認の手順まで書く
「SNSで紹介する」だけでなく、月に何回、誰が内容を確かめ、公開を何日前に決めるかまで書きます。試合や遠征を優先できるよう、日程を動かせる余地も入れておくと、選手にとっても無理がありません。
期間は怪我と引退と不祥事の場合も決める
長期の怪我、移籍、引退、不祥事が起きたときに、契約をどうするかを先に決めます。報酬の扱いや広告の取り下げ方を書いておくと、慌てずに対応できます。リスクの考え方は別の記事でまとめています。スポンサーの不祥事リスクもあわせて確かめてください。
個人の選手に頼むなら法律を3つの場面で確かめる

個人の選手に業務を頼む場合は、頼む内容によって確かめる法律が変わります。自社の契約に当てはまるかは、法律の専門家に確認してください。選手の起用を広告全体の中で考えるなら、スポーツマーケティングの基本も参考になります。
業務委託ならフリーランス法で条件を明示する
従業員を使わない個人に業務を委託する場合、令和6年11月1日に施行されたフリーランス法が関係します。厚生労働省の資料によると、発注する事業者は、給付の内容や報酬の額などを書面または電磁的方法で明示します。
一定の発注事業者には、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払う義務もあります。撮影や出演を個人の選手に頼む契約は、対象になるかを確かめておきます。
(参考)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 説明資料 – 厚生労働省
投稿を頼むなら広告だと分かる表示にする
消費者庁は、広告であるのに広告であることを隠す「ステルスマーケティング」を、令和5年10月1日から景品表示法違反としています。規制の対象は広告を出す企業の側です。選手に投稿を頼むなら、「広告」や「PR」といった表示を入れてもらい、確認の手順も決めておきます。広告で確かめる点はアスリート広告のチェックリストにまとめています。
(参考)令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 – 消費者庁
雇用なら労働条件を社員と同じ手順で示す
雇用する場合は業務委託ではなく、労働条件の明示や就業規則など、ほかの社員と同じ手順が基本になります。遠征や練習の時間をどう扱うかは、賃金や勤務時間に関わるので、社会保険労務士に確認しながら決めます。
Q. 個人の選手との契約にフリーランス法は関係しますか?
従業員を使わない個人に業務を委託するなら関係する場合があります。その場合、発注側は給付の内容や報酬の額などを書面または電磁的方法で明示します。協賛だけなのか、撮影や投稿を頼むのかで変わるため、専門家に確認してください。
契約金は公表されないことが多いので決め方から考える
アスリートの契約金は公表されないことが多く、誰にでも当てはまる相場はありません。海外誌の推定によるランキングはありますが、世界的なスターの数字なので、企業が地元の選手と結ぶ契約の目安にはなりません。
金額は、競技の注目度、選手の実績、頼む活動の量、期間、競合を排除するかどうかで変わります(本記事の整理)。複数の選手に同じ条件を聞くと比べやすくなります。スポーツ全体の協賛の費用はスポンサー料の相場、トップ選手の例は大谷翔平のスポンサー企業で確かめられます。
Q. アスリートの契約金の相場はいくらですか?
公開された統一の相場はありません。競技の注目度、実績、頼む活動の量、期間、競合の排除の有無で変わります。複数の候補に同じ条件を示して見積もりをとると、自社にとっての目安をつかめます。
アスリート契約の要点
- 契約はスポンサー、広告出演・肖像使用、アンバサダー、雇用の4つに分かれる
- 決めるのは権利、活動、期間の3つ
- 個人への業務委託はフリーランス法、投稿の依頼はステルスマーケティングの規制を確かめる
- 契約金は公表が少ないので、条件をそろえて比べる
まずは選手に何をしてもらいたいかを1文で書き、4つの形のどれに当たるかを確かめてみてください。
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