スポーツスポンサーになるメリット|企業が得るものと協賛先の選び方

スポーツスポンサーになるメリット|企業が得るものと協賛先の選び方 スポーツマーケティング

地元のクラブから、協賛の案内が届いた。資料には看板の大きさと金額が並んでいるのに、払ったあとで自社に何が返ってくるのかは、どこにも書かれていません。役員に「それで、うちに何のメリットがあるの」と聞かれて、答えに詰まる場面です。

スポーツスポンサーになるメリットは、会社の印象、地域での信用、社員の愛着と採用、取引先や顧客との関係、商品の販売の5つに分けられ、どれを得やすいかは協賛先がチームか選手個人か大会かで変わります。野村総合研究所の2023年の調査では、スポーツ支援をしている上場企業132社の75.0%が「自社の宣伝・イメージアップ」を、71.2%が「社会貢献・CSR」を重視していると答えました(3つまで選択)。

この記事では、国の資料と調査、協賛した企業の発表をもとに、5つのメリットの根拠と、協賛先ごとの違い、デメリットへの備えを整理します。資料はいずれも2026年10月11日に確認したものです。

スポーツスポンサーになるメリットは目的別に5つある

企業が協賛で得るものは、何を目的にするかで5つに分けられます。国が「メリットは5つ」と定めているわけではなく、経済産業省の委託調査の表と、企業への調査の回答項目を、本記事が束ね直したものです。

メリット 得るもの 根拠になる数字や資料
①会社の名前と印象 名前を覚えてもらい、良い印象を持ってもらう 上場132社の75.0%が重視(野村総合研究所、2023年)
②地域での信用 地元の住民やファンとの接点と信頼 協賛企業55社のうち目的に挙げた企業の満足度が64%(ニールセン スポーツ ジャパン、2019年)
③社員の愛着と採用 社内の共通の話題、社員が参加できる場 上場132社の35.6%が重視(野村総合研究所、2023年)
④取引先や顧客との関係 招待の席と、ふだんはできない体験 協賛企業55社の49%が目的に挙げる(ニールセン スポーツ ジャパン、2019年)
⑤商品の販売 会場での販売や体験、新しい顧客との接点 預金額4億2,700万円の例(経済産業省の事例集、令和8年2月)

スポーツスポンサーになる5つのメリット(出典:野村総合研究所「企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果」、ニールセン スポーツ ジャパン「スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019」、経済産業省の事例集をもとに本記事が整理)

①会社の名前と印象を広める

企業がいちばん多く挙げる目的は、会社の名前と印象です。野村総合研究所は、2023年7月から8月に東京証券取引所の上場企業へ調査を行い、234社から回答を得ました。このうち、合計100万円以上のスポーツ支援をしていた132社に、重視することを3つまで選んでもらうと、「自社の宣伝・イメージアップ」が75.0%で最多でした。

見る側の反応を調べた調査もあります。電通が全国の15歳から69歳の7,200人に行った「スポーツ総合調査2025」(調査期間は2025年10月24日から11月6日)では、企業に好感を持つ人の割合が、企業を知っている人で17.6%、協賛していることまで知っている人で31.3%でした。

ただし、これは2つの集団を比べた数字です。協賛を知っている人は、もともとスポーツへの関心が高い人に偏っている可能性があり、協賛したから好感が上がった、とまでは言い切れません。企業が協賛する理由の調査は、下の記事でくわしく扱っています。

あわせて読みたいスポーツスポンサーになる理由とは?企業132社の調査で「宣伝」が75%›

(参考)企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果(2024年4月) – 株式会社野村総合研究所

(参考)電通、「スポーツ総合調査2025」を実施(2026年3月10日) – 株式会社電通

②地域での信用を積み上げる

地域への貢献は、協賛した企業の満足度がいちばん高い目的です。ニールセン スポーツ ジャパンは、2019年11月末から2020年1月に、国内のスポーツに協賛する55社へ調査を行いました。「自社の社会的責任(CSR)/地域貢献ができること」を目的に挙げた企業は60%で、そのうち満足と答えた企業は64%でした。13の目的のなかで、50%を超えたのはこの1つだけです。

経済産業省が東北地方で行った委託調査(令和8年3月)も、企業がクラブと関わる価値の1つめに、地域との関係づくりを挙げています。クラブへの関与を通じて地域の住民と接点を持つことは、企業の社会的な認知の向上や、地域社会との信頼関係の構築につながる可能性がある、という整理です。

企業の言葉にも表れています。埼玉県川口市の有限会社ベルスタッフは、2026-27シーズンからBリーグのさいたまブロンコスのオフィシャルパートナーになりました。代表は、これまで支えてくれた地域への感謝の気持ちを何かの形で返したい、という思いからパートナーになったと述べています。

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)令和7年度地域牽引スポーツクラブチームのモデル創出に向けた調査事業 調査報告書(令和8年3月) – 経済産業省

(参考)有限会社ベルスタッフ との2026-27シーズンパートナー契約締結のお知らせ(2026年7月24日) – さいたまブロンコス

③社員の愛着と採用に生かす

社内に向けた効果を目的にする企業は、3社に1社ほどあります。野村総合研究所の調査では、「社員の活性化や連帯感醸成」を重視する企業が35.6%でした。ニールセン スポーツ ジャパンの調査でも、「自社と従業員のエンゲージメント強化」を目的に挙げた企業が47%あります。

社員が自分で参加する形にしている企業もあります。カネカは、2013年から協賛を続ける北海道マラソンに、2026年はグループから過去最多の約130名がエントリーしたと発表しました。採用については、経済産業省の委託調査(令和6年3月)の表が、測る指標の例として、採用活動で協賛を活用した件数や、関連する採用数を挙げています。

一方で、協賛によって応募や採用が何人増えたのかを、数字で示した公式の発表や公的な資料は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ニールセン スポーツ ジャパンの調査でも、従業員エンゲージメントの強化に満足と答えた企業は19%です。社内向けの効果は、協賛しただけでは生まれにくいと見ておくほうが安全です。

(参考)企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果(2024年4月) – 株式会社野村総合研究所

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)北海道マラソン2026への特別協賛のお知らせ(2026年8月7日) – 株式会社カネカ

(参考)令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(国内外のスポーツリーグ・クラブの経営実態等の調査事業)調査報告書(令和6年3月) – 経済産業省

④取引先や顧客をもてなす

協賛には、取引先や顧客を招く席が付くことがあります。ニールセン スポーツ ジャパンの調査では、「ビジネスのお客様を招待し関係性を構築」を目的に挙げた企業が49%あり、そのうち満足と答えた企業は37%でした。

岐阜市のケーブルテレビ会社のシーシーエヌは、2025年11月9日のFC岐阜の試合を「シーシーエヌ株式会社サンクスマッチ」として開きました。発表によると、加入者への日ごろの感謝を込めた企画で、抽選で当たった100名を招き、スタジアムの見学ツアーや、VIPルームでの観戦を用意しています。お金を払えば買える品物ではなく、協賛した会社だけが用意できる体験を贈っている点が特徴です。

なお、招待の席や飲食にかかる費用は、税務では広告宣伝費ではなく交際費等として扱われることがあります。これは一般的な取扱いの紹介で、個別の判断は税理士に確かめてください。会計の区分はスポンサー料の勘定科目の記事で整理しています。

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)FC岐阜「シーシーエヌ株式会社サンクスマッチ」開催(2025年10月30日) – シーシーエヌ株式会社

⑤商品を知ってもらい販売につなげる

販売を目的にする企業は少数ですが、売る仕組みまで作った企業は、金額で成果を出しています。野村総合研究所の調査で「自社の商品の販売促進・販路開拓」を重視すると答えた企業は13.6%でした。ニールセン スポーツ ジャパンの調査では、「商品/サービスの売上拡大・シェア拡大」を目的に挙げた企業が33%で、そのうち満足と答えた企業は6%にとどまります。

成果が数字で残っている例は、経済産業省の事例集(令和8年2月)にあります。創業から間もなく、新しい顧客の獲得に苦労していた、みんなの銀行は、アビスパ福岡との取り組みで4億2,700万円の預金額を達成したと紹介されています。電力の小売を行うUPDATERは、水戸ホーリーホックが始めた再生可能エネルギーの事業に加わったことで知名度が上がり、事業の開始から3か月で問い合わせが増えたとされています。

どちらも、企業への聞き取りにもとづく経済産業省の資料の記述です。事例集には、資金の拠出を前提としない取り組みも含まれる、という注があります。ロゴを出せば売れるのではなく、応援と自社のサービスをひも付ける仕組みを作った結果だと読むのが正確です。権利を施策に変える方法はスポンサーシップ アクティベーションの記事で扱っています。

(参考)企業におけるスポーツ支援の実態把握に関するアンケート調査結果(2024年4月) – 株式会社野村総合研究所

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)スポーツクラブと企業による「課題解決型」パートナーシップの11の事例集(令和8年2月) – 経済産業省

Q. スポーツスポンサーになるメリットは何ですか?

会社の名前と印象、地域での信用、社員の愛着と採用、取引先や顧客との関係、商品の販売の5つに分けられます。野村総合研究所の2023年の調査では、スポーツ支援をしている上場企業132社の75.0%が「自社の宣伝・イメージアップ」を、71.2%が「社会貢献・CSR」を重視していました(3つまで選択)。販売促進を重視する企業は13.6%です。

企業の目的が決まれば協賛先と得るものが決まる

スポーツスポンサーのメリットを、企業の目的・協賛先・得るものの3列で結んだ図。地域での信用と取引先との関係はチーム、姿勢を示す目的は選手個人につながる

協賛先は、何を得たいかを先に決めると選びやすくなります。上の図は、協賛した企業の発表と国の資料で確かめられた組み合わせを、目的、協賛先、得るものの順に結んだものです。

地域での信用と、取引先や顧客との関係を目的にするなら、チームへの協賛が合います。チームは同じ地域で年に何度も試合を開くため、地元のファンとの接点と、招待に使える席や体験が得られるからです。前の章のベルスタッフとシーシーエヌは、どちらもチームに協賛しています。

社員の愛着と採用を目的にするなら、社員が観戦できるチームと、社員が自分で走れる大会の両方が候補になります。商品の販売が目的なら、参加者や来場者に直接売ったり試してもらったりできる、大会やチームの会場が向いています。カネカは、北海道マラソンの関連イベントでサプリメントを特別価格で販売し、鹿島アントラーズの冠試合では会場の外のブースで商品を配りました。

会社の姿勢や理念を示したいなら、選手個人への協賛が選ばれています。次の章で見るとおり、選手個人に協賛した企業の発表は、選手の挑戦への共感と、自社の理念や技術との結びつきを理由に挙げています。協賛の種類の全体像はスポーツスポンサーとはの記事にまとめています。

(参考)北海道マラソン2026への特別協賛のお知らせ(2026年8月7日) – 株式会社カネカ

(参考)カネカ 鹿島アントラーズオフィシャルパートナー冠試合を開催(2024年7月19日) – 株式会社カネカ

チームと選手と大会では得られるメリットが違う

チームへの協賛と選手個人への協賛で得るメリットの重なりを示すベン図。重なるのは社名の露出と応援の姿勢

協賛先がチームか、選手個人か、大会かで、手に入る権利の中身が変わります。上の図は、チームへの協賛と選手個人への協賛で得るものを、2つの円で比べたものです。重なる部分は、社名の露出と、応援する姿勢を示せることです。

チームへの協賛は場と回数を得る

チームへの協賛で得られるのは、ホームゲームという場と、それが年に何度も開かれるという回数です。スポーツ庁と経済産業省の会議の資料は、従来からの権利として、広告看板の掲出やユニフォームへの企業名の掲載を挙げています。実際の発表には、1試合に社名を付ける冠試合、会場のブース、招待の席なども出てきます。なお、クラブやリーグは、協賛する企業をスポンサーではなく「パートナー」と呼ぶことが多くなっています。

大企業の例では、りそなホールディングスが2024-25シーズンからBリーグのタイトルパートナーになりました。発表では、地域社会への思いが共鳴しているとし、クラブやファン、地域、ほかの協賛企業と事業を共につくると述べています。カネカは、2021年10月から鹿島アントラーズのオフィシャルパートナーで、2024年7月の冠試合では、自社の生分解性の素材を使った紙コップを、会場の外の一部の飲食店に初めて導入しました。

地元に向けた使い方もあります。採用の支援を行う採用戦略研究所は、2026-27シーズンから新潟アルビレックスBBのオフィシャルパートナーになりました。発表によると、目的は、県内の企業の経営者と、新潟で働くことを考える人が同じ場所で出会う接点をつくることです。クラブごとの料金はスポーツスポンサー料の相場で一覧にしています。

(参考)第二期スポーツ未来開拓会議「みる」スポーツ分科会(第2回)資料3 事務局資料(2024年5月10日) – スポーツ庁・経済産業省

(参考)国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」のタイトルパートナー就任について(2024年7月1日) – 株式会社りそなホールディングス

(参考)カネカ 鹿島アントラーズオフィシャルパートナー冠試合を開催(2024年7月19日) – 株式会社カネカ

(参考)“新潟県で働く理由”をつくる。株式会社採用戦略研究所は2026年シーズン B.LEAGUE・新潟アルビレックスBBのオフィシャルパートナーに就任(2026年9月2日) – 株式会社採用戦略研究所

選手個人への協賛は人の物語を得る

選手個人への協賛で得られるのは、場ではなく、その人の物語です。2026年に発表された例を見ると、理由の中心は選手への共感でした。グルメ杵屋は、女子モーグルの見瀬クレア選手が世界へ挑戦する姿に共感したとし、競技のルールの範囲内で、ヘルメットなどに自社のロゴを出す予定だと発表しています。アズビルは、フィギュアスケートの佐藤駿選手の姿勢が、創業120周年に定めた自社のパーパスと重なることを理由に挙げました。

自社の技術や地元と結び付ける企業もあります。研磨材のマイポックスは、アルペンスキーの小野里佳恋選手との契約について、自社の研磨材がスキー板の製造や手入れの現場で使われており、技術で直接貢献できることを理由に挙げました。ブライダルのブラスは、創業の地である愛知県一宮市の出身の、プロテニスの虫賀心央選手と契約し、自社の会場で式を挙げるカップルにサインボールを贈る企画を合わせて発表しています。

気を付けたいのは、選手を広告に使える範囲です。Bリーグの選手統一契約書は、選手が第三者の広告宣伝に関わるときや、肖像の使用を認めるときは、事前にクラブの書面による承諾が要ると定めています。日本オリンピック委員会(JOC)も、シンボルアスリートの肖像を使えるのは一部のJOCスポンサーに限ると案内しています。契約の前に、所属先の承諾が要るかどうかを確かめてください。

あわせて読みたいアンバサダー契約とは|スポーツ選手と結ぶ企業の確認点と報酬›

(参考)フリースタイルスキー 女子モーグル見瀬クレア選手とグルメ杵屋がスポンサー契約を締結(2026年10月9日) – 株式会社グルメ杵屋

(参考)アズビル、フィギュアスケート 佐藤駿選手とスポンサー契約を締結(2026年10月1日) – アズビル株式会社

(参考)2030年冬季五輪を目指すアルペンスキー小野里佳恋選手とスポンサー契約を締結(2026年7月23日) – マイポックス株式会社

(参考)愛知県出身のアスリートを応援!プロテニスプレーヤー虫賀心央選手とスポンサーシップ契約を締結&サインボールプレゼントも(2026年5月7日) – 株式会社ブラス

(参考)選手統一契約書 – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

(参考)よくあるご質問 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

大会への協賛は1日の場と参加者を得る

大会への協賛で得られるのは、開催日という1日の場と、そこに集まる参加者です。カネカは、北海道マラソン2026の特別協賛について、登録と一般の男子の約3,350名が着けるアスリートビブスや、完走した人に配るタオルなどにロゴを出し、男子の優勝者へメダルを渡すと発表しました。

チームとの違いは、相手が観客ではなく参加者である点と、機会が年に1回である点です。参加者は自分の体を動かしに来ているので、健康や運動に関わる商品は、その場で試してもらいやすくなります。社員を走らせることができる大会なら、社内向けの企画にも使えます。

大会の協賛金と特典の例は、マラソン大会の協賛金の記事で、募集要項をもとに紹介しています。

(参考)北海道マラソン2026への特別協賛のお知らせ(2026年8月7日) – 株式会社カネカ

Q. 選手個人のスポンサーになるメリットは何ですか?

選手の挑戦の物語を、自社の理念や技術と結び付けて伝えられることです。2026年の企業の発表では、グルメ杵屋やアズビルが選手への共感を、マイポックスが自社の研磨材の技術で貢献できることを理由に挙げました。ただし、クラブに所属する選手を広告に使うには、Bリーグの選手統一契約書のように、クラブの書面による承諾が要る場合があります。

スポーツスポンサーのデメリットは3つの備えで小さくできる

協賛には、効果を数字で示しにくい、知られなければ効果が出ない、成績や移籍や中止に左右される、という3つの弱点があります。どれも、契約の前に手を打てるものです。

効果は数字で示しにくい|始める前の数字を残す

いちばん多い悩みは、効果を社内で説明しにくいことです。経済産業省の東北地方での委託調査は、企業への聞き取りから、クラブとの連携の効果を数値として評価することが難しいこと、協賛に使った費用の効果を社内で説明する必要があることを、課題として挙げています。

別の委託調査(令和6年3月)には、海外のクラブの関係者の指摘が載っています。企業に多いミスは、スポンサーを始める前の現状の調査を怠ることだ、というものです。前と後を比べなければ、効果は確かめられません。

備えは、契約の前に、いまの数字を1つ残しておくことです。たとえば、自社のサイトへの月のアクセス数、採用の説明会の参加者数、取引先を招く行事の回数などです。

(参考)令和7年度地域牽引スポーツクラブチームのモデル創出に向けた調査事業 調査報告書(令和8年3月) – 経済産業省

(参考)令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(国内外のスポーツリーグ・クラブの経営実態等の調査事業)調査報告書(令和6年3月) – 経済産業省

知られなければ効果は出ない|知らせる費用を別に取る

協賛は、知られて初めて効果が生まれます。ニールセン スポーツ ジャパンの2019年の調査では、協賛金を1としたとき、権利を活用するために使う費用は0.4でした(「わからない」を除く42社の平均)。回答した57社のうち50社は、売上高が1,000億円以上の企業です。

先ほどの委託調査には、権利を得ることに予算の大半を使うと、その後の活用が限られ、宝の持ち腐れになる、という指摘もあります。協賛金とは別に、自社のサイトや採用のページでの告知、招待の案内、会場での企画にかける費用を、最初から予算に入れておきます。

(参考)スポーツ・スポンサーシップ実施企業調査2019(抄出版) – ニールセン スポーツ ジャパン株式会社

(参考)令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(国内外のスポーツリーグ・クラブの経営実態等の調査事業)調査報告書(令和6年3月) – 経済産業省

成績や移籍や中止に左右される|契約で扱いを決めておく

協賛先には、自社では動かせない出来事が起こります。Jリーグ規約は、クラブへの懲罰として、勝点減、無観客試合、下位リーグへの降格などを定めています。選手個人の場合は、移籍や引退があります。経済産業省の委託調査(令和6年3月)には、選手が移籍すると活用の取り組みが止まってしまう、という米国のプロバスケットボールリーグの関係者の指摘が載っています。

大会は、中止になることがあります。協賛金の扱いは大会ごとに違い、愛知県の稲沢シティーマラソンの募集要項は、中止の場合は受け取った協賛金を返すとし、東京都東大和市の多摩湖駅伝大会の募集要綱は、返せないとしています。

成績が悪いと協賛の効果が下がる、と示した国内の公的な資料は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。備えは2つあります。中止や不祥事のときの扱いを、契約の前に書面で確かめること。そして、成績に左右されにくい、地域や社員に向けた目的を主にすることです。契約書で確かめる点はスポーツスポンサー契約の記事で扱っています。個別の条文は弁護士に確かめてください。

(参考)Jリーグ規約 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(国内外のスポーツリーグ・クラブの経営実態等の調査事業)調査報告書(令和6年3月) – 経済産業省

(参考)第38回稲沢シティーマラソン協賛募集要項 – 稲沢シティーマラソン実行委員会

(参考)第37回多摩湖駅伝大会 協賛企業募集要綱 – 多摩湖駅伝大会実行委員会

Q. スポーツスポンサーのデメリットは何ですか?

効果を数字で示しにくいこと、知られなければ効果が出ないこと、成績や移籍や大会の中止に左右されることの3つです。ニールセン スポーツ ジャパンの2019年の調査では、国内のスポーツに協賛する55社のうち、売上の拡大を目的に挙げた企業で満足と答えたのは6%でした。始める前の数字を残し、知らせる費用を別に取り、中止などの扱いを契約の前に確かめることで備えられます。

メリットは測り方と効く相手で分けると社内で説明しやすい

スポーツスポンサーのメリットを、成果の測り方と効く相手の2軸で置いた図。取引先の招待と商品の販売は社外向けで数で数えられる

5つのメリットは、成果を何で測るかと、誰に効くかの2つで分けると、社内で説明しやすくなります。上の図は本記事の整理で、軸と置き場所は、経済産業省の委託調査(令和6年3月)にある、協賛の目的と指標の例の表をもとに決めました。

横の軸は測り方です。この表の指標は、単位で2つに分かれます。招待した数、行事に参加した人数、販売した額のように数で数えられるものと、認知度や好感度、従業員の満足度のように、調査をしないと出ない割合のものです。縦の軸は、効く相手が社外か社内かです。

取引先の招待と商品の販売は、社外に向けたもので、数で数えられます。会社の名前と印象は、社外に向けたものですが、調査をしないと変化が分かりません。地域への貢献は、行事の回数や参加者数で数えられる面と、好感度の調査が要る面の両方があります。採用は人数で数えられ、社員の愛着は社内の調査で測ります。

はじめての協賛なら、数で数えられる指標を1つ持っておくと、1年後に結果を報告しやすくなります。会社の印象を主な目的にする場合は、認知度の調査にかける費用を、最初から見込んでおきます。スポーツを使った企業の活動の全体像は、スポーツマーケティングとはの記事で整理しています。

(参考)令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(国内外のスポーツリーグ・クラブの経営実態等の調査事業)調査報告書(令和6年3月) – 経済産業省

まとめ|スポーツスポンサーのメリットは目的を1つ決めて選ぶ

協賛で何が得られるかは、目的と協賛先の組み合わせで決まります。要点を振り返ります。

  • スポーツスポンサーになるメリットは、会社の印象、地域での信用、社員の愛着と採用、取引先や顧客との関係、商品の販売の5つに分けられる
  • 上場132社の75.0%が宣伝とイメージを重視する一方、満足度がいちばん高いのは地域への貢献の64%(協賛企業55社、2019年)
  • チームは場と回数、選手個人は人の物語、大会は1日の場と参加者が得られる
  • デメリットは、効果を数字で示しにくい、知られなければ効果が出ない、成績や移籍や中止に左右される、の3つ
  • 数で数えられる指標を1つ決め、始める前の数字を残しておくと、社内で説明しやすい

協賛の案内が手元にあるなら、まず5つのうちどれを主な目的にするかを1つ決めてください。そのうえで、その目的に合う権利が案内に入っているかを、クラブや主催者に尋ねるところから始めると、話が進めやすくなります。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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