オリンピックのスポンサー企業|日本企業の撤退とJOCの3階層

オリンピックのスポンサー企業|日本企業の撤退とJOCの3階層 スポーツマーケティング

オリンピックのスポンサーは、IOC(国際オリンピック委員会)と契約して世界中の大会で権利を使えるワールドワイドオリンピックパートナー(TOP)と、開催国の組織委員会や各国のオリンピック委員会と契約して原則として国内で権利を使うスポンサーに分かれます。2026年11月時点のTOP12社に日本企業はなく、パナソニックとブリヂストンは2024年12月末の満了で契約を終えました。いま日本企業が名を連ねているのは、JOC(日本オリンピック委員会)のTEAM JAPANパートナーと、ロサンゼルス大会の組織委員会の枠です。企業ごとの金額はどの契約でも公表されていません。

「オリンピックのスポンサーになるには、どこに話を持っていけばいいのか」「日本企業はもう撤退したのか」と社内で聞かれても、ニュースの断片だけでは答えにくいものです。ここではJOCと企業の公式発表、公的な決算資料だけを手がかりに、契約の窓口、日本企業の一覧、撤退の経緯、金額の規模、大会名を使うときの決まり、契約の前に社内で決めることを順に見ていきます。

オリンピックのスポンサーは契約する相手で3つに分かれる

オリンピックのスポンサーが、IOC・大会組織委員会・JOCのどこと契約するかで、権利を使える地域が世界と国内に分かれることを示した図

JOCは、オリンピックのスポンサーの仕組みを、IOCが管理するワールドワイドオリンピックパートナーと、各国・地域のオリンピック委員会や大会組織委員会のパートナーの「二重構造」と説明しています。契約する相手が違えば、使える呼び名もマークも、権利を使える地域も変わります。まず3つの窓口の違いを押さえておくと、社内の検討がぶれにくくなります。

IOCのワールドワイドパートナー|世界の大会で権利を使える

TOPはIOCと直接結ぶ最上位の契約です。JOCの公式サイトには、2026年11月時点でAB InBev、Airbnb、Alibaba、Allianz、コカ・コーラと蒙牛、デロイト、JPモルガン・チェース、オメガ、P&G、サムスン、TCL、Visaの12社が載っています。

TOPの権利は業種ごとのカテゴリーで決まります。トヨタ自動車が2015年3月13日に発表したTOPの契約は、車両・モビリティサービス・モビリティソリューションを含む「モビリティ」のカテゴリーで、2024年末までの期間でした。このとき権利は2016年までは日本国内で使え、2017年から世界に広がるとされていました。同じTOPでも、権利が使える地域が時期で変わる契約もあるということです。

(参考)パートナー企業一覧 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)Toyota Becomes IOC TOP Partner(2015年3月13日) – Toyota (GB)

大会組織委員会の国内スポンサー|開催国の中で大会の権利を使う

大会ごとの組織委員会も、開催国の中で大会の名前やエンブレムを使えるスポンサーを募ります。東京2020大会では、組織委員会の収入6,404億円のうち国内スポンサーが3,761億円、TOPスポンサーが569億円でした。計算すると、国内スポンサーの額はTOPの約6.6倍です。費用と収入の全体はオリンピックの費用の内訳で解説しています。

次の2028年ロサンゼルス大会では、組織委員会(LA28)の枠に日本企業の米国法人が入りました。2025年6月2日、アメリカン・ホンダがLA28のファウンディングパートナーと、チームUSA(米国代表)のオフィシャル・オートモーティブ・パートナーになると発表されています。契約の相手が米国の組織委員会と米国オリンピック・パラリンピック委員会なので、日本の本社ではなく米国法人が契約した例です。

(参考)組織委員会の収支(東京2020大会) – 東京都

(参考)Honda Supporting as Founding Partner of LA28 Olympic and Paralympic Games(2025年6月2日) – LA28

JOCのTEAM JAPANパートナー|日本国内に限って権利を使う

JOCのTEAM JAPANパートナーシッププログラムは、Tier 1・Tier 2・Tier 3の3つの階層でパッケージを用意し、日本国内に限ったパートナーを募集しています。JOCの説明では、権利を使える領域は日本国内です。権利の中身は呼び名(「TEAM JAPANゴールドパートナー」「オリンピック日本代表選手団」など)、マーク(TEAM JAPANブランド、JOCスローガン「がんばれ!ニッポン!」など)、選手の肖像、商品やサービスを納めるサプライ権などで、協賛のレベルによって使える権利が変わります。

大会ごとに相手が変わる組織委員会の枠と違い、JOCの枠は日本代表選手団を軸にした契約です。呼び名の付け方や階層の考え方は、ほかの競技団体の例と合わせてオフィシャルパートナーとはで整理しています。

(参考)TEAM JAPAN パートナーシッププログラム – 公益財団法人日本オリンピック委員会

Q. オリンピックのスポンサーにはどんな種類がありますか?

契約する相手で3つに分かれます。IOCと結ぶワールドワイドオリンピックパートナー(TOP)、各大会の組織委員会と結ぶ開催国の国内スポンサー、各国のオリンピック委員会と結ぶパートナーで、日本ではJOCのTEAM JAPANパートナーがこれにあたります。権利を使える地域は、TOPが世界、ほかの2つは原則としてそれぞれの国内です。

オリンピックのスポンサー企業一覧|日本企業の今の契約は国内の枠

オリンピックに関わるスポンサー契約を結んだ日本企業を、JOCの公式サイトと企業・組織委員会の公式発表で確かめられたものに絞って並べました。JOCの一覧は2026年11月時点の掲載です。TEAM JAPANパートナーには航空会社や旅行会社などの区分もありますが、ここではゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターの3つを載せています。

企業 区分・契約の名称 契約の相手 期間の書き方 現在か過去か
パナソニック ワールドワイドオリンピックパートナー(TOP) IOC 1987年から2024年12月末の満了まで 終了(2024年9月10日に延長しないと発表)
ブリヂストン ワールドワイドパートナー(TOP) IOC 2014年から2024年12月末の満了まで 終了(2024年10月1日に継続しないと発表)
トヨタ自動車 TOP(モビリティのカテゴリー) IOC 2015年3月の発表で2024年末まで TOPの一覧に名前なし
トヨタ自動車 TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
アシックス TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
味の素 TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
東京海上日動 TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
日本生命 TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
三井不動産 TEAM JAPANゴールドパートナー JOC 記載なし 現在
エアウィーヴ TEAM JAPANオフィシャルパートナー JOC 記載なし 現在
久光製薬 TEAM JAPANオフィシャルパートナー JOC 記載なし 現在
丸大食品 TEAM JAPANオフィシャルサポーター JOC 記載なし 現在
アメリカン・ホンダ(ホンダの米国法人) LA28ファウンディングパートナー、チームUSAのオフィシャル・オートモーティブ・パートナー LA28・米国オリンピック・パラリンピック委員会 2025年6月2日の発表 現在

出典:JOC「パートナー企業一覧」(2026年11月時点)、パナソニック・ブリヂストン・トヨタ自動車・LA28の公式発表をもとに Human Soar 作成。期間は発表の文面どおり

13行のうち、IOCと結ぶTOPの契約は3件で、どれも契約期間が2024年末までです。いま続いている10件は、JOCの国内の枠が9件、米国の組織委員会の枠が1件で、日本企業の今の契約はすべて開催国や自国の中で権利を使う枠になっています。トヨタ自動車はTOPの一覧からは外れましたが、JOCのゴールドパートナーとして名前が残っています。

期間をはっきり書いているのは、TOPの3件だけでした。JOCの一覧には契約の始まりや期間が書かれていないため、契約の時期を確かめたいときは各社の発表を見るか、JOCに問い合わせることになります。サッカーの大会で同じように階層を並べた例はワールドカップのスポンサー22社で紹介しています。

(参考)パートナー企業一覧 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイド公式パートナー契約を終了(2024年9月10日) – パナソニック ホールディングス

(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナー契約について(2024年10月1日) – 株式会社ブリヂストン

(参考)Toyota becomes Presenting Partner of the Tokyo 2020 Olympic Torch Relay – Toyota Motor Corporation

Q. オリンピックのスポンサーになっている日本企業はどこですか?

JOCの公式サイトでは、TEAM JAPANゴールドパートナーとしてアシックス、味の素、東京海上日動、トヨタ自動車、日本生命、三井不動産の6社が載っています。2026年11月時点のワールドワイドオリンピックパートナー12社に日本企業はありません。ロサンゼルス大会では、米国法人のアメリカン・ホンダが組織委員会のファウンディングパートナーになっています。

オリンピックのスポンサー撤退|TOPを終えた日本企業3社の経緯

オリンピックのワールドワイドパートナーだったパナソニック・ブリヂストン・トヨタ自動車の契約が2024年末までで、その後のスポンサーの立場を比べた図

TOPにいた日本企業3社は、いずれも契約期間が2024年末まででした。このうちパナソニックとブリヂストンは、契約を延長しない・継続しないとIOCと合意したと自ら発表し、理由も公表しています。トヨタ自動車については、契約の期間と現在の立場を見ていきます。

パナソニック|37年続いたTOPの契約を延長せず

パナソニック ホールディングスは2024年9月10日、2024年12月末の契約満了をもってIOCとのTOPプログラム契約を延長しないことで合意したと発表しました。1987年からオリンピック、2014年からはパラリンピックのワールドワイド公式パートナーを務め、協賛は37年間に及びました。

理由について同社は、経営環境や当社業容の変化に応じてスポンサーシップの在り方を常に検討するなかで判断したと説明しています。発表にはIOCのバッハ会長のコメントもあり、TOPプログラムの創設メンバーとしての40年以上の協力に感謝を述べています。アスリートやスポーツファンを支える姿勢は変わらないとも書かれています。

(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイド公式パートナー契約を終了(2024年9月10日) – パナソニック ホールディングス

ブリヂストン|モータースポーツの活動に力を移す

ブリヂストンは2024年10月1日、2024年12月末で満了するオリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナー契約を継続しない方針を決め、IOCと合意したと発表しました。2014年からオリンピック、2018年からパラリンピックのワールドワイドパートナーを務めていました。

今後については、スポーツの力を信じ続ける姿勢は変わらないとしたうえで、タイヤという商品を通じて自ら挑むサステナブルなグローバルモータースポーツ活動に力を入れると説明しています。広く大会を支える協賛から、自社の商品が直接関わる競技へと軸足を移すという説明です。

(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナー契約について(2024年10月1日) – 株式会社ブリヂストン

トヨタ自動車|TOPの期間を終えてJOCのゴールドパートナーに

トヨタ自動車は、2015年にIOCとIPC(国際パラリンピック委員会)のワールドワイド・モビリティ・パートナーになり、期間は2017年から2024年まで、平昌2018・東京2020・北京2022・パリ2024を対象としていました。2026年11月時点のJOCの一覧では、TOPの12社に名前はなく、TEAM JAPANゴールドパートナーの6社に入っています。

世界の大会の枠を離れても、国内の代表選手団の枠で関わり続けている形です。撤退という言葉で一括りにせず、どの契約を終え、どの契約が続いているのかを分けて見ると、各社の判断を取り違えずに済みます。

(参考)Toyota becomes Presenting Partner of the Tokyo 2020 Olympic Torch Relay – Toyota Motor Corporation

(参考)パートナー企業一覧 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

Q. パナソニックはなぜオリンピックのスポンサーをやめたのですか?

パナソニック ホールディングスは、経営環境や当社業容の変化に応じてスポンサーシップの在り方を検討するなかで判断したと説明しています。2024年9月10日に、2024年12月末の契約満了をもってIOCとのTOPプログラム契約を延長しないことでIOCと合意したと発表しました。1987年から37年間続いた契約です。

オリンピックのスポンサー金額はJOCの決算で規模をつかむ

企業ごとのスポンサー料は、ここで挙げたどの公式発表にも書かれていません。規模をつかむ手がかりになるのが、公益財団法人であるJOCが毎年公開している決算書類です。正味財産増減計算書の「マーク使用料収益」を、令和元年度から令和7年度まで並べました。

年度 マーク使用料収益 億円にすると 前年度との差
令和元年度(2019年4月〜2020年3月) 7,123,385,435円 約71.2億円 -
令和2年度(2020年4月〜2021年3月) 5,173,896,423円 約51.7億円 約19.5億円減
令和3年度(2021年4月〜2022年3月) 4,329,806,182円 約43.3億円 約8.4億円減
令和4年度(2022年4月〜2023年3月) 5,348,559,463円 約53.5億円 約10.2億円増
令和5年度(2023年4月〜2024年3月) 5,880,287,214円 約58.8億円 約5.3億円増
令和6年度(2024年4月〜2025年3月) 6,689,114,042円 約66.9億円 約8.1億円増
令和7年度(2025年4月〜2026年3月) 5,306,998,941円 約53.1億円 約13.8億円減

出典:JOC「正味財産増減計算書」令和2年度・令和4年度・令和6年度・令和7年度(各年度の当年度と前年度の欄)をもとに Human Soar 作成

7年度のうち最も多いのは令和元年度の約71.2億円で、最も少ないのは令和3年度の約43.3億円でした。令和7年度は約53.1億円で、計算すると同じ年度の経常収益計146億2,555万円余りの約36.3%にあたります。JOCは、パートナーには協賛金の対価として知的財産の使用を許諾していると説明しています。

JOCのマーケティングプログラムには、パートナーにマークなどの使用を認める仕組みと、公式ライセンス商品にマークの使用を認める仕組みの2つがあり、決算書類にこの科目の内訳は書かれていません。この額はスポンサー料の合計ではなく、JOCがマークなどの使用を認めて得ている収益の規模として見ます。1社あたりの金額を知るには、JOCや組織委員会に階層ごとの条件を問い合わせ、見積もりを取ります。

(参考)正味財産増減計算書(令和2年度) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)正味財産増減計算書(令和4年度) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)正味財産増減計算書(令和6年度) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)正味財産増減計算書(令和7年度) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)JOCマーケティングプログラム – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)ブランド、知的財産 ブランド保護 – 公益財団法人日本オリンピック委員会

Q. オリンピックのスポンサー料はいくらですか?

企業ごとの金額は公表されていません。全体の規模は公的な資料でつかめます。東京2020大会の組織委員会の収入では国内スポンサーが3,761億円、TOPスポンサーが569億円でした。JOCの令和7年度の決算では、マーク使用料収益が約53.1億円です。

オリンピックの大会名やマークは契約したスポンサーだけが使える

オリンピックの知的財産は、契約したパートナーしか広告や販売促進に使えません。JOCはこの決まりを「オリンピック等の知的財産の使用に関するガイドライン」(2023年6月発行)にまとめ、スポンサーでない企業がしてはいけない例を具体的に挙げています。協賛を考える企業にとっては、何を買うのかを確かめる材料にもなります。

大会名や「オリンピック」の言葉は事前の許諾を得て使う

ガイドラインは、オリンピックシンボル、大会エンブレム、大会名称、マスコット、「オリンピック」「オリンピアン」などの用語、大会の画像や映像を知的財産として挙げ、使うには権利を持つ団体の事前の許諾が必要だとしています。日本国内では商標法、不正競争防止法、著作権法などで守られています。

商標法は第4条第1項第6号で、営利を目的としない公益に関する団体を表す著名な標章と同じか似た商標は、登録を受けられないと定めています。社名や商品名、キャンペーン名に大会を思わせる語を入れる前に、弁理士など専門家に確認すると安全です。スポンサーでない企業が避ける表現の全体はアンブッシュマーケティングとはで解説しています。

(参考)オリンピック等の知的財産の使用に関するガイドライン Ver.1.0(2023年6月発行) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

(参考)商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第4条 – e-Gov法令検索(デジタル庁)

納入や受注の実績を広告に出せるのもスポンサーだけ

ガイドラインが挙げるアンブッシュマーケティング(便乗広告)の例には、大会関連の受注や貢献の実績を示すものも含まれています。実際の大会で使われたことを、無償か有償かを問わず表した広告は、スポンサーでない企業には使えないという例示です。大会に用具や設備を納めた企業でも、契約がなければ「大会で使われた」と宣伝できないことになります。

選手の所属先や個人スポンサーも同じで、「オリンピック日本代表(候補)選手」といった呼び名や、内定・メダル獲得の事実をウェブサイトやSNS、プレスリリースで発信することはできません。壮行会や報告会も、対外的な発信を伴わない社内限りであれば開けるとされています。大会期間中の選手の肖像の扱いはルール40とはで整理しています。

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(参考)オリンピック等の知的財産の使用に関するガイドライン Ver.1.0(2023年6月発行) – 公益財団法人日本オリンピック委員会

会場に広告を出さないのが原則|LA28で命名権を初めて導入

オリンピックの会場は、企業名や広告を出さない「クリーンな会場」が原則です。LA28は2025年8月14日、オリンピック・パラリンピックの歴史で初めて競技会場の命名権を導入すると発表しました。最初の例として、アナハイムのホンダセンターがオリンピックのバレーボール会場として名前を残したまま使われます。

この試みでは、条件を満たすLA28のパートナーが既存の会場の命名権を大会中も維持でき、最大19の仮設会場の命名権がTOPとLA28のパートナーに開かれます。命名権のパートナー以外には、これまでどおりクリーンな会場の方針が適用されるとしています。大会ごとに広告の扱いが変わりうるため、契約する大会の最新の方針を確かめる必要があります。

(参考)LA28 Awards Venue Naming Rights for First Time in Olympic Games History(2025年8月14日) – LA28

オリンピックのスポンサー契約の前に社内で決める4つのこと

ここまでの決まりを踏まえると、検討を始める前に社内で決めておくべきことは4つに絞れます。どれも、窓口に問い合わせたときに最初に聞かれる内容でもあります。

権利を使いたい地域と窓口

国内の販売や採用に使いたいならJOCのTEAM JAPANパートナー、開催国の市場で大会と結びつけたいならその大会の組織委員会、世界で使いたいならIOCのTOPが相手になります。JOCの窓口は総合企画部のマーケティング担当で、公式サイトに問い合わせ先が載っています。海外の大会の枠は、ホンダの例のように現地の法人が契約する形も検討します。

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(参考)TEAM JAPAN パートナーシッププログラム – 公益財団法人日本オリンピック委員会

契約する業種のカテゴリー

オリンピックのパートナーは業種のカテゴリーごとに権利が決まります。トヨタ自動車のTOPは車両・モビリティサービス・モビリティソリューションを含むモビリティのカテゴリーでした。自社の商品やサービスがどのカテゴリーに入るか、すでに同じ業種のパートナーがいないかを、JOCの一覧などで先に確かめておきます。

(参考)Toyota Becomes IOC TOP Partner(2015年3月13日) – Toyota (GB)

使いたい呼び名とマークと選手の肖像

JOCの権利は、呼び名、マーク、選手の肖像、サプライ権、関連する映像や写真などに分かれ、協賛のレベルによって使える範囲が変わります。広告で「TEAM JAPANゴールドパートナー」と名乗りたいのか、選手を起用したいのかで、必要な階層が変わります。使いたい表現を先に書き出しておくと、見積もりの比較がしやすくなります。

(参考)TEAM JAPAN パートナーシッププログラム – 公益財団法人日本オリンピック委員会

契約期間と更新の判断の時期

パナソニックとブリヂストンの契約は、どちらも2024年12月末の満了に合わせて終了が発表されました。契約の区切りが更新を見直す機会になるため、満了の時期、更新を決める期限、延期や中止のときの扱いを契約書で確かめておきます。契約書で確かめる項目の全体はスポーツスポンサー契約とはで解説しています。

スポンサーの仕組みそのものはスポーツスポンサーとはで、協賛を含む販促の進め方はスポーツマーケティングとはでまとめています。

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(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイド公式パートナー契約を終了(2024年9月10日) – パナソニック ホールディングス

(参考)オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナー契約について(2024年10月1日) – 株式会社ブリヂストン

オリンピックのスポンサーのまとめ

オリンピックのスポンサーは、契約する相手と権利を使える地域を分けて考えると整理できます。出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 契約の相手はIOC(TOP)、大会組織委員会、各国のオリンピック委員会の3つで、TOPは世界、ほかは原則として国内で権利を使う
  • 2026年11月時点のTOP12社に日本企業はなく、日本企業はJOCのTEAM JAPANパートナー9社とLA28の米国法人1社が契約している
  • パナソニックとブリヂストンは2024年12月末の満了でTOPの契約を終え、理由は経営環境の変化やモータースポーツへの注力と公表している
  • 企業ごとの金額は非公表で、JOCのマーク使用料収益は令和7年度で約53.1億円
  • 大会名やマークは契約したパートナーしか使えず、納入の実績も広告にできないため、地域・カテゴリー・使う表現・期間を先に決めて窓口に相談する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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